俳優の寺田農さんが3月に81歳で亡くなった。彼は数多くの映画やテレビシリーズに出演し、声優としても知られていた。寺田さんは1961年に俳優として活動を始め、代表作は1968年に公開された映画『肉』である。この映画は太平洋戦争末期、特攻を命じられた兵士の物語であり、岡本監督の戦争体験を独特のユーモアで描いている。映画は超現実的で、終戦から20年以上経った1968年の日本を描いている。
文・イラスト:牧野良之
3月に亡くなった俳優の寺田農さん。彼は81歳です。
寺田ノブは数多くの映画やテレビシリーズに出演しています。 『天空の城ラピュタ』ムスカなど声優としても知られる。
てらのろさんが俳優として活動し始めたのはいつ頃ですか?
調べてみると、1961年(昭和36年)、19歳で文学部の大学院生となったことが分かりました。 1965年(昭和40年)、テレビ青春学園ドラマ『青春とは何か』に出演。 「高校生を演じました。私たちはまだ白黒テレビの時代にいます。当時私は小学生だったのですが、その頃から寺田さんを見ていたことに驚きました。
寺田さんは数多くの映画に出演されていますが、代表作は『肉』です。今回はその「肉弾」を取り上げたいと思います。
『肉』は1968年(昭和43年)に公開された映画、すなわち『青春とは何か』である。 “3年後。監督・脚本:岡本喜八。 『肉』は寺田能監督の代表作であり、この作品で毎日映画コンクール主演男優賞を受賞し、俳優としての評価を高めた作品である。
1968年といえば、まず思い浮かぶのは明治100周年です。
記念切手は1968年に明治維新100周年を記念して発行されました。私は切手を集めるのが趣味なので、小学5年生の時に明治100年について学び、明治維新後の日本の近代化や戦争について考えていました。
しかし、私は記念切手以外は漫画とテレビとプラモデルにしか興味がなく、映画館にも怪獣映画が上映されている時しか行かないので、当然「肉」を見ることは不可能です。
私が初めて「カット肉」を見たのは21世紀に入ってからでした。初めて見たのはテレビでした。私は昔から古い日本映画が大好きなのですが、『肉』は他にはない不思議な作品です。
同作は、太平洋戦争末期、特攻を命じられた一年生兵士「あの男」(寺田農)の物語。
ただし、敵は存在せず、戦闘シーンもありません(アメリカの戦闘機が射撃することを除いて)。ただし、だからといって「あの男」が他の日本兵と深いつながりを持っているわけではない。
したがって描かれるのは、「あの男」が古本屋を営む老人と出会い、休日に女子学生「うさぎ」と出会い、軍人少年と出会う物語である。
これがほぼ統合されているので、「あの人」が単独で映画を主導することになるのは必然です。寺田農業の役割はとても大きいと思います。
ちなみに「あの人」という名前は、ナレーター(仲代隆也)が名前ではなく「あの人」と呼んでいることに由来している。 「彼」は多くの無名の戦士を表しているのかもしれない。その時が来たら、私も「あの人」になるかもしれない。そう考えてみると、「あの人」の経験は他の誰にも特別なものではありません。
それは1945年の夏のことでした。 21歳6か月の「あの男」は、軍隊で日々を過ごし、大尉(ティアン・チュンウェイ)からの懲罰を受けてやつれてしまっていた。やがて広島と長崎に原爆が投下され、ソ連も参戦した。失敗は深刻になります。
この時、“あの方”のチームに特攻命令が下された。自爆攻撃の方法は、兵士が爆弾の入った木箱を積んで敵戦車に突入するというものだ。いわゆる「肉爆弾」です。
これは正当な戦略とは思えません。普通に描くと暗くて重い映画になってしまいますが、岡本監督は明るくユーモアたっぷりに描いており、岡本監督の戦争体験が伝えるメッセージをゆっくりと味わうことができます。仲代達矢の優しいナレーションと佐藤優の心落ち着く音楽も効果的。
この映画はユーモアを超えて超現実的ですらあります。
浜辺で一人特攻訓練中の「あの男」。敵の戦車に備えて砂に掘った穴に隠れたり、雷門拳大演じる軍人少年が手榴弾を数えるシーンは安部公房の小説を彷彿とさせる。もちろん敵は登場せず、おばあさんだけが登場する。
シュールといえば、笠智衆さん演じる古書店主と大谷直子さん演じる女子学生「うさぎ」のシーンは、たくしくよしはるさんの漫画を思い出しました。滝志善治がペン画で描く不思議な日常世界、それが映像で紡がれる不思議な日常世界。
続けましょう。戦略が変わりました。
「敵は北に移動しています!我々は前進して敵を攻撃します。」
「前に進むと言っても、目の前には海が…」
“あの男”に命じられたのは魚雷による特攻だった。魚雷は側面に固定されたドラム缶に入り込み、船外に投げ出された。広大な海で敵艦に遭遇できるかどうかは運次第です。
「彼」は魚雷とともに漂流した。 「彼」は和傘をさして雨を避け、小魚を食べて空腹を満たした。
ついに敵空母を発見したと思ったが、発射した魚雷は実は日本の民間船だった。彼らが知らないうちに戦争は終わった。
最後に岡本監督は、終戦から20年以上経った1968年の日本を描いた。
真夏のビーチ。海岸は多くの海水浴客で賑わい、若者たちが青春を謳歌している。女の子たちのビキニ姿が眩しいです。モーターボートに乗る若者もいます。
映画公開当時の日本。これは私が最初に書いた「明治100年」の日本でもあります。
海で遊ぶ彼らはみな新世代の若者たちで、当時は「もはや戦後ではない」「太陽族」も含まれていた。カウンターカルチャーにどっぷり浸かっている若者もいるかもしれない。ベトナム反戦運動に参加する若者もいるかもしれない。
そこには「あの人」もいた。海岸に浮かぶドラム缶の中。骨格としては。
『肉』は寺田慈の俳優としての代表作である。 土にまみれた「あの人」の顔は、アニメのムスカとは違うかもしれませんが、きっと寺田能さんの声優を思い出すでしょう。
【今日のとっても面白い日本映画】
「肉爆弾」
1968年
収録時間:116分
監督・脚本:岡本喜八
出演:寺田農、大谷直子、笠千秋、田中邦衛、雷門賢峰、仲代達矢(ナレーション)ほか。
音楽:佐藤優
文・イラスト:牧野良之
1958年、愛知県岡崎市生まれ。イラストレーター兼版画家。音楽や映画に関するイラスト入りの記事も執筆しています。著書に『わが青春の記録』『ヤングマッキー わが昭和少年の記録1958-1970』『オーディオキッズのアナログ放浪記』など。
表紙