春に再開された歓送迎会でお酒を飲む機会が増えたが、適度な飲酒は死亡率を低くすることが国内外の疫学調査で示されている。ワイン好きの医師が飲み方を解説した新書も刊行されており、健康に良いおやつの選び方を紹介している。アルコールを摂取すると過食傾向があるため注意が必要で、中性脂肪の蓄積や肥満の原因になる可能性がある。炭水化物や糖質の摂取量を制限し、健康を維持することが重要である。
新型コロナウイルスの影響で延期されていた歓送迎会が再開され、多くの人がこの春、お酒を楽しむ機会が増えたのではないでしょうか。一般的にアルコールは健康に害を与えるとされていますが、最近の国内外の疫学調査によると、適度に飲酒する人の死亡率が全く飲まない人よりも低いことが示されています。医学的に「アルコールは最高の薬」という格言が証明されたことは画期的な出来事かもしれません。
ただし、無計画な飲酒は病気の原因になります。『医者がもっと教える!「からだにいいワインの飲み方」』(高島学会)では、ワイン好きの医師が「飲み方」「選び方・飲み方」など、ワイン愛好家にとって必読の新書を出版しています。今回は「太らないおやつの食べ方と選び方」について紹介します。
太る原因の9割は間食。ただし、ノブがないことは逆効果です。
【監督】
栗原武
東京・日本橋の栗原クリニック院長。医学博士、日本肝臓学会専門医。
東京女子医科大学教授、慶応義塾大学研究所教授などを歴任。『ブラッド・スリッパリー』の生みの親の一人。生活習慣病や寝たきりの予防・改善に関する情報を幅広く提供。『有名肝臓科医が暴露!内臓脂肪を1週間で自然に落とす本』(高田王社)などの著書または監修書を執筆。
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「お酒を飲むと太る」と思っている人もいますが、「お酒=太る」というわけではありません。砂糖を多く含むアルコールやフルーツジュースには注意が必要です。また、アルコールを摂取すると食欲が増し、間食が多くなる傾向があります。この「過食傾向」は大きな罠です。お酒を飲んでハイになり、高カロリーな食べ物を摂取し、食後に甘いものを摂取して太る人も少なくありません。特に気を付けるべきは、腸間膜や内臓の周りに蓄積する内臓脂肪です。
食事から摂取した栄養素(炭水化物、脂肪)は肝臓で中性脂肪に変換されます。中性脂肪は体内でエネルギーとして消費されますが、過剰になると蓄積し、内臓脂肪や皮下脂肪として貯えられ、肥満の原因となります。さらに、脂質異常症、高血圧、糖尿病などの疾患を引き起こす可能性もあります。これらのリスクを回避するためには、脂肪になりやすい炭水化物の摂取を控えることが重要です。実際、アルコールと肥満の関連を調査した研究では、過度の飲酒以外ではアルコールが体重増加の原因にならないことが示唆されています。太る原因の9割が間食であることは間違いありません。
中性脂肪は体の活動量を増やすのに役立ちます。過剰摂取を避ければ、健康な体を維持することが可能です。枝豆、刺身、キムチ、豆腐、酢のものなどの低炭水化物のおやつを選び、高炭水化物の食品は最小限に抑えましょう。お酒を飲んで間食を抜く人もいますが、これは肝臓に負担をかける行為です。お酒を飲みながら低糖質のおやつを摂取するように心がけましょう。
お酒で太るのを防ぐポイントは、カロリーではなく糖質や炭水化物の含有量に基づいて選ぶことです。
近年、健康に対する意識の高まりから、メニューにカロリーや糖質量を表示する飲食店が増加しています。しかし、太るのを防ぐためには「炭水化物」と「糖質」に注意する必要があります。
【番号】
成人男性の1日の炭水化物摂取量の推奨値は250グラムで、女性は200グラムです。しかし、脂肪の蓄積を防ぐために炭水化物摂取量を20%減らし、男性は1日あたり200グラム、女性は150グラムを目指します。ただし、炭水化物を急激に減らすと、体が脂肪が減少する危険を感じ、逆に脂肪を蓄えるため、過度の制限は避けるべきです。10%〜20%の削減が適切です。
番号の記載がない場合もあるので、家庭での食事やおやつには商品ラベルを確認することが重要です。
「炭水化物」は「炭水化物+食物繊維」の量を示し、糖質の概算量がわかります。
おやつとして避けるべきもの(砂糖・炭水化物)
ご飯、パン、麺類
米、パン、麺などの主食には多くの炭水化物が含まれていますが、完全に断つと栄養不足に陥り、リバウンドの危険性があります。量を減らすのが良い方向です。
フルーツ
果物に含まれる果糖は吸収が早く、中性脂肪になりやすいので過剰摂取には注意が必要です。
根菜
根菜類は糖質が意外と多いです。特にジャガイモやレンコンなどの芋は注意が必要です。
おやつとして避けなくてもよい食品(動物性たんぱく質)
肉と魚
肉や魚にはほとんど炭水化物が含まれず、必須の動物性たんぱく質が豊富です。積極的に摂取することで筋肉が増え、脂肪の燃焼効果が高まります。
乳製品
カロリーは高いですが、炭水化物は少なく、カルシウムが豊富です。
卵
手頃な価格で栄養価の高い卵は、食生活に積極的に取り入れるべき食品の一つです。
コラム:飲酒者の寿命を縮めるNG行為(3)
ワインやおつまみにこだわっても、以下の行為をしていると台無しです。心配事がある場合は、今日からこれを行わないようにしてください。
【監督】
秋津敏夫
東京都品川区戸越銀座秋津クリニック院長。日本内科学会認定「総合内科専門医」認定。
大阪大学工学部で酒造りを学んだ後、和歌山県立医科大学循環器内科を経て、現在の職に至った。テレビ東京「医者が見つかる診療所」に出演しており、著書も数多く執筆。
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ウェルカムドリンクや寝酒には何のメリットもありません。飲酒後に眠ることはただの無力さだけですか?
飲み過ぎると二日酔いが悪化するだけです。アルコールは頭痛や他の不快感を和らげるだけです。夜飲むのも悪い習慣です。アルコールは脳の感覚を麻痺させ、1時間で眠りに入り、3時間で感覚がなくなり、逆に酔いが回って寝つきが悪くなることがあります。睡眠時無呼吸症候群の原因になりますし、「日本酒を選ぶ」と「寝る前の飲酒」はアルコール依存症のリスクを高めます。***
さらに医師から!飲酒の健康効果について
監修:栗原武、滝沢幸雄、秋津寿夫、栗原剛志範、溝口哲夫